②自分の学力、入試に関わる様々な情報を
「客観的」に捉え、自分に合う適切な方法を考える
次に②について考えてみます。
難関大受験を難しく考えすぎて、力があるのに恐れてしまい、目指そうともしない人がいます。逆に力が明らかに足りないのに安易に合格できると考える人もいます。考え方は人それぞれですが、私が考える進路選択は、「自分を刺激してくれる仲間がたくさんいる場所」言い方を変えると、「自分の実力で入学できる最高の大学」が一番幸せではないかと考えています。高いレベルを目指すには現実を正しく認識し、適切な行動を取り、目的・目標を達成するために「客観的」に捉えることが必要だと理解してください。
まず、自分の学力を客観的に捉えましょう。よく、「1・2年時にどれぐらいの成績を取っていれば大丈夫ですか?」という質問をされることがあります。ある程度の目安は欲しいとは思いますが、自分の目指すものを「届きそうだからやって、届きそうにないから諦める」と考えていいものでしょうか?しかも、まだ1・2年生で準備をする時間がたくさんある時期に判断すべきことでしょうか。目指したいと思うのであれば目指すための行動を起こせばよいだけです。
学力は1年あれば大きく動きます。偏差値55の人の1年後の成績は、伸びる人は65、伸びない人は45になることは現場の教員にとっては当たり前の話です。焦って途中段階の成績で判断するのではなく、3年秋の記述模試(または大学別模試)の結果を見て判断すればよいと思います。また、共通テストの素点だけを目標にしている人がいますが、難関大を目指すのであれば、記述模試の結果にもっと重点を置きましょう。「共通テストは、土俵に上がるまでの勝負、2次試験は土俵に上がってからの勝負」です。
秋にA・B・C判定が出ていれば合格の可能性は充分あると思いますが、D・E判定のときはどう考えればいいのでしょうか?その際は、2次試験科目の教科バランスを見てください。例えば、大学別模試偏差値が2科目以上55を超える、または全ての科目が50近辺にあるなら共通テスト後まで判断を保留すれぼ良いでしょう。1科目しか55を超えていないなら現役合格の可能性は低いと思われます。2次試験まであと3ヶ月もあるからまだ伸びると思われるかもしれませんが、どの受験生も必死なので、秋から大きい差を縮めることは難しいと考えてください。浪人して目指す方法もありますが、大きなリスクがあります。伸びる保証があるわけではないので、安易に考えるべきではありません。生活のリズム、環境が変わることからストレスがたまり、メンタルをやられる場合もよくあります。ですがそれが克服できた場合、3年時と比べて偏差値+10ポイント、共テ+100点と大きく伸ばすこともよくある話です。リスクを受け入れ、理解した上でチャレンジする決断をするのも良いでしょう。経済的な部分は保護者にお願いするしかありませんが、最後は自分で断固たる決意をもって行ってください。
次に、入試における様々な情報も「客観的」に受け止めましょう。まずは目標偏差値(ランク)についてです。ABCの判定ラインが各業者で設定されていますが、私の肌感覚としては、どの業者も概ね2〜3ポイント高めに設定されていると思っています。ざっくり言えば合格者平均で設定されていると思ってください。早い時期に地方の生徒が合格者平均に到達することはなかなか難しいので、ランクを鵜呑みにしてしまうと、届いていない場合に簡単に諦めてしまいます。「共テBラインの人が合格最低点を取るための2次試験得点率」を毎年調べていますが、どの難関大でも文系で55〜60%、理系で50〜55%、医学科は65〜70%となります。ですからまず、2次試験で50〜55%とれる学習を計画的に行いましょう。ただ、この合格最低点は、毎年大きく変動するものてす。間違った利用の仕方をしている場合もよく見かけるので注意しましょう。
早い時期から難しい問題をたくさん解くことで対応しようとする都会の情報よりも、教科書を深く学び、本質を理解することを優先した学習を進め、3年初めぐらいから少しずつ難しい問題を解き始め、2月末に照準を合わせる進め方が「田舎の公立高校の闘い方」ではないかと考えています。各教科の具体的な内容は担当の先生方に問い合わせて下さい。
2回にわたり、地方から難関大に合格するためにはどのように取り組めば良いかを考えてきました。諦めることはありません。焦ることもありません。正しい積み重ねをしていけば、目指していくことができると信じていますし、達成した生徒たちをたくさん見てきました。多くの人が、自分の夢や思いを叶えられることに少しでも貢献することができればと思っています。
健闘を祈ります!
”思いは叶う”